彼と付き合うことで「私」をなくしていませんか?
どこかの結婚式場の宣伝コピーにこんなものがあった。
「きのうの私とあなた。今日から私たち」
私はこのコピーを見つめながら、これは何を訴えているのかなと考えた。
「結婚を機に私とあなたという存在が消えて私たちという別の存在になる」という
ことを強調しているのだろうか。
何をやるにもすべて二人で。
そればかりか、考えることも、感じることも一緒?
もしも、このようなことを意味しているのだとしたら、これは問題だ、と私は思った。
いや、もしかしたらこうかもしれない。
これは、アクセントは「きのうの私とあなた」におかれていて、要するに、「私」と
「あなた」という一人の人間としての個が確立していることが大切であって、そういう
「私」と「あなた」があってはじめて「私たち」という別の複合的人格が生まれる…
というようなことを意味しているのなら、うん、これはいただけるとうなづいた。
前置きが長くなったが、ここで私が言いたいことは、「私」そ「あなた」という個が
確立した者同士による関係が、恋愛関係や夫婦関係の健全性や継続性をもたらすとい
うことだ。
簡単に言うと、「一人ぼっち」が存在しない「二人ぼっち」の関係は長く続かない
可能性が高いということなのだ。
なぜ?
「二人ぼっち」の関係では「自分」が失われてしまう危険性があるからだ。
自分が失われ、相手に従い、依存した関係は、一時的には満足できても、やがて、
「自分」が成長し、(別の言葉で言えば、自分のアイデンティティが確立する)自分
を主張できるような状態になるに従い、揺さぶられ、あげくは崩れてしまうことが
多いからだ。
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