【む】「昔ながらのしきたり!」

「む」

結納には「関東式」「関西式」「九州式」という大きくは3つに分かれる結納の形式の1つにあるくらい、九州地方の結婚式は、結納に昔ながらのしきたりを重んじる地域が多いのが特徴です。結納の前にも、鯛やお酒、お茶などを持参する「久喜茶」や「寿美酒」などと呼ばれる風習があります。結納のことを九州地方では一般に「お茶」ともいい、結納を納めると「お茶が入った」と表現する場合もあります。さらに、筑後地方には「お茶見せ」「お茶開き」といった風習もあり、ご近所の方や親戚をもてなした帰りに筒茶を渡す習慣も残ります。結納品のお茶には昔から、「嫁は出ない方がいい」という意味で番茶が用いられてきましたが、最近では煎茶が使われることも多いようです。お酒も、角樽と呼ばれる一対になった樽に入れますが、「白鶴」や「松竹梅」などのおめでたい銘柄がオススメです。また、現代家屋には結納品を置くスペースが狭い場合があるため、鯛の現物の代わりに3万円程度のお金を包むことも多くなりました。佐賀県の有明海岸の地域では、結納時に鯛の代わりにブリを持参します。九州地方の結婚式は神前式が一般的で、当日の式前に仏壇参りを行う風習が残っている地域もあります。背振地方の「ウツタリ御前」と呼ばれる花嫁と生家の別れの式では、なますやがめ煮などの祝善を用意し親子や兄妹と別れの盃を交わしたら、二度と家に戻らないようにと花嫁が家を出るときにそれまで使用していたお茶碗を割って送り出します。熊本でも披露宴を二部に分ける習慣が根強く残っていて、地域によっては親族とその他という形で二部に分けて行っているそうです。長崎は全国的にも大規模な披露宴を行うことで有名で、100名を超えるようなものも珍しくありません。特に雲仙や島原地域では、200名から300名を超える規模の結婚式もしばしば行われています。九州地方の結婚式の平均費用は、ゲストの平均人数98名に対して総額363万円。全国平均が72名のゲストに対して総額333.7万円なので、少し規模が大きいということでしようか。